ハ ワ イ 報 告(4)

清 史 彦

 

10.地球上の生命との交歓

ハワイ大学でハワイ人の学生を支援しているクメアロハ・ゴメスさん(女性)のお話

 

ハワイの挨拶であるアロハのハの発音は、息を出すでしょう?その意味は、息を分け合う、互いの生命の息吹を交換するという意味です。
一番親しい挨拶の動作は、額と鼻を合わせて互いに息をかわし合うことです。

 タロイモの根っこの部分も「ハ」と言います。「生命が繰り返す」という意味

です。
大地は母、又空は父で、その神の子を土地に埋めると、芽が出てタロイモになると言い伝えられています。
私たちハワイ人も神の子ですからタロイモとは兄弟です。
フラダンスも現在は単なる、南洋的なセクシーな踊りとしか思われていませんが、それは、母なる大地のエネルギーと父なる天空を結ぶ巫女の踊りなのです。


子供のフラダンス

 また、こんなことを言うとクリスチャンは発狂しそうになるでしょうけれど、ハワイの人にとっては、性はとてもめでたいものなので、子供が生まれた時、男であれ女であれ、その性器に名前を付けます。
私の名前、クメアロハの意味は「愛が出てくる場所」という意味ですが、これは私の性器に与えられた名前なのです。
 現在の教育では、小学生に「この子はダメだ」なんて言ってしまいます。
が、そんな白人文化で自分を見るのではなく、これまで述べてきたような私たちの本来のものから自分を見ることを教えたいのです。


タロイモ水田

 

 私たちの土地に土足で上がりこんできたアメリカ人。
そして、アメリカ文化にあらゆるものをすっかり奪われてしまっているけれど、その昔、精神文化と生活はひとつのものでした。

 

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11.現代の日本文化について

清 史彦の感想

 

 日常生活に密着した性的なものごとの話しは、興味を引かれました。
クメアロハさんと、和田先生が上記の挨拶をかわされたのですが、まあほとんどキスしているようなもので、どこか気恥ずかしさをおぼえてしまいました。
日本も昔は性的なことが日常生活に密着していたのに「僕は西洋文化に毒されているなあ」と感じました。

 昔の村祭りなどは男女の出会いの場でしたし、夜這いなどもよくあったそうです。
また関西では銭湯は明治初期までは混浴だったそうです。
ところが、それでは外国の使節に恥ずかしいからと禁止令が出されたのだそうです。
性器をかたどったお地蔵さんなどはいたるところにありました。
それほど昔はおおらかだったのでしょう。

 なのに、今の私は恥ずかしく思ってしまいます。「そうかキリスト教なのか。」

とそこで、以前参加したキリスト教の結婚式を思い出しました。
そこでは司婚者である牧師が、口やかましいほどに、「あなたの伴侶はこの人である」と誓わせていました。
「ああ、これほどまでに誓わせないと、人間とは相手をひとりに絞れない存在なんだなあ」とある種滑稽に感じたほどでした。

 

「近代社会を作り上げるためには、その社会の最小単位としての一対一の夫婦がどうしても必要だったのかなあ。」とか
「そうでなければ私有財産制度が混乱してしまうなあ。」とか、
「やはり明治維新で無理やりに西洋文化を導入した結果、そうとう日本人の精神生活や文化が破壊されてしまったんだな。」とか、
いろいろ考えてしまいました。

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12.共鳴する世界

和田 稠さんの感想 

 

 母なる大地の話しをお聞きして、地球上の全ての民族が、根本に帰れば、皆同じようなものを持っているんだなあと思いました。
私たち日本人も元々は、同じようなものを持っていました。
ところが日本というか、大和(やまと)では神話がすでに政治的な意味を持って作られてしまっています。


語る和田稠

国家以前、民族以前に帰れば、みな共鳴する世界があるんだなあと感じます。
だからこそいっそう
「何が人を分断したのか!」をハッキリさせねばと強く思います。

 

**********『ハワイ報告』(5)につづく**********

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