今、世界は! 〜テロと報復〜その2

顧倒 2001年10月 No.214号より掲載


2001/9/22 毎日新聞より掲載↑

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【イスラム】
テロを起こした人たちはイスラム教徒で、根っこに「宗教の争い」がある
とも言われているおり、宗教者の一人としては放っておけない問題だが、
これはまさに宗教が、政治、経済の紛争に利用されている姿である。
日本でも戦前は、国家神道というエセ宗教を政治が作り上げて、
聖戦をでっち上げ、国民を戦争に駆り立てた。
それと全く同じ過ちをイスラムの殉教者、聖戦という言葉を使って行い、
民衆を死に駆りたてている。
 本来のイスラム教は「他人の命を奪う事も自分の命を絶つことも罪です」と教えている。 
 ただ一つテロに繋がることがあるとすれば、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教は、
同根の宗教で、どれも砂漠という、厳しい環境の元で生まれてきた宗教なので、
攻撃的な教えであることが一つの土壌かもしれない。 
それに比べると、仏教はインドという自然の豊かな場所で生まれたからか、
とても緩やかな寛容の教えであるように思える。
とは言っても、あのオウム真理教だって、チベット仏教を名乗っていたのだし、
日本仏教でも、法華経は、けっこう攻撃的な教えだし、
浄土真宗も昔は「進者極楽、退者地獄」なんて旗印で勇敢に戦ったのだから、
みな同じ落とし穴を持っているということでもある。
僕たちに大切なことは、誰にでも落とし穴があることをよく知って、
自ら省みつつ歩み続けることしかないと思う。




 
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2001/9/25 朝日新聞より掲載↓


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