○<住職のコメント>
瑞興寺所蔵掛軸 親鸞さんの考えを一番よく表現しているとされ、現代において、多くの人々の必読書となっている。この「歎異抄」の最後に「死罪の記録」が書き加えられている事には、本当に身の引き締まる思いがする。「浄土真宗の教えを、このシャバ世間において生きようとする事は、生易しいことではないぞ」と私達一人一人に厳しい覚悟をせまってくる。
その具体的な姿が「非僧非俗」という有名な言葉で表されている。思えば「僧」とは、国家に身分を保証された者であった。そしてそれは今も「宗教法人法」という形で生きている。更に何より私たちの教団の中で「寺族」という言葉が今も生き残っている。そんな国家や、生まれつき与えられたような「僧」を捨て、かといって「俗」そのままでもない。この濁世間にあって、「真実に生きよう」と阿弥陀仏の願いを、我が願いとして担う、一人の主体の誕生が宣言されている。
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