親鸞聖人の生涯

〜『顛倒』連載版〜

 第64回

−−−【親鸞聖人正明伝 より】−−−

−−−【御伝鉦 より】−−−

 ○<住職のコメント>

先が『正明伝』、後が『御伝鈔』、全く同じ物語です。 現代語訳ですが、サラッとした表現の『正明伝』と物々しい『御伝鈔』の表現との対比が面白いです。 私はこの文章などは『正明伝』の真実性を示唆するひとつではないかと思っています。 同じ話があるということは、このエピソードが語り継がれていたということでしょう。 『御伝鈔』は、親鸞のひ孫、覚如が、親鸞の直弟子のつながりである関東教団に対して、 本願寺の正当性を主張するために編纂した書物ですから、簡単な言い伝えが先ずあって、 それを取材した覚如が物々しい表現で『御伝鈔』に載せたと受け取るのが、自然だと思うからです。内容も興味深いです。 「真影を写す」こと、「善光寺の本願の御房」 「聖人は弥陀如来の応現」という言葉、そしてそれが「夢」で語られることが面白いです。 親鸞も法然の姿を写したことを感激を持って言葉にしていますし、 何度も夢の中で、聖徳太子を表す観音菩薩に出逢われていますので、当時の教えを相続する形が伺えます。 また善光寺と親鸞との関係の深さも観てとれます。 私は、親鸞は若い頃、善光寺の阿弥陀如来を背負って各地に念仏の教えを伝えた念仏聖(ひじり)であろうと観ていますが、 これもその傍証ですね。

―――以上『顛倒』2013年10月号 No.358より―――

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